J-10:(ジャンル)その他地域文学

『悲しみを聴く石』アティーク ラヒーミー (著)

せまくて何もない部屋に、戦場から植物状態となって戻った男が横たわる。
その傍らで、コーランの祈りを唱えながら看病を続ける妻。
やがて女は、快復の兆しを見せない夫に向かって、
自分の悲しみ、疼き、悦びについて、
そして誰にも告げたことのない罪深い秘密について語り始める。
夫は、ただ黙ってそれを聞き、時に、何も見ていないその目が、
妻の裏切りを目撃することになる--
 原題の「サンゲ・サブール」とは、ペルシア語で「忍耐の石」。
その石に向かって、人には言えない苦しみや悲しみを打ち明けると、
石はそれをじっと聞き、言葉や秘密を吸い取り、ある日、粉々に打ち砕ける。
その瞬間、人は苦しみから解放されるという、ペルシアの神話からとられている。
 著者はフランスに亡命したアフガニスタン出身の映像作家・小説家。
初めてフランス語で綴った本作は、
デュラスやサルトル、ベケット、ヘミングウェイを彷彿させると評され、
いきなりフランスの文学賞最高峰ゴンクール賞を受賞。
はたして、石は砕けるのか、悲しみは消え去るのか。
圧倒的なラストまで読者の瞬きを許さぬ衝撃作。

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『旅する帽子―小説ラフカディオ・ハーン 』ロジャー パルバース (著)


新しい人間、流浪する魂。
あわれ桜花に届くか、明治を透視する異端者(アウトサイダー)の詩情は?
ヨーロッパの孤児、いずれの国にも属さぬ世界人と日本!

10年をかけて完成させた書下ろしの傑作長篇。
放浪を希求する魂の孤独。
それこそが明治日本に新しい空気と風をもたらしたにちがいない。
京都在住のオーストラリア人が一個の人間の創造精神を探る希有の小説。

ロジャー パルバース

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『 イブン・ジュバイルの旅行記 』イブン・ジュバイル (著)





一二世紀末、ムワッヒド朝グラナダ大守の書記イブン・ジュバイルが
美文で綴ったメッカ巡礼旅の記録。
アレクサンドリア、カイロ、メッカ、メディナ、
バグ ダード、ダマスクス、十字軍支配下のエルサレム…。
カアバ神殿や大モスク、巡礼儀礼を克明に描き、
苦難の長旅、諸都市の見聞を通して
地中海東方世界事情を 生々しく伝える中世「旅行記」の代表作。


イブン・ジュバイル - Wikipedia


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『 わたしの名は「紅」』 オルハン パムク (著)





十六世紀末のイスタンブル
舞台は1591年の冬、
オスマン・トルコ帝国の都イスタンブルでの雪の九日間の出来事である。
帝国は十六世紀前半に政治的にも、経済的にも、文化的にも最高の円熟期に達したあとで、
色々な面でそろそろ問題が出てき始めた時期である。
政治的な腐敗、長く続く泥沼化した戦争、物価高、インフレに悩む市民、
疫病の流行、大火、退廃的な風潮、乱れた世相と、
これら全ての悪の根源は預言者の言葉にそむいたためであり、
葡萄酒の売買を許したためであり、
宗教に音楽を取り入れたためであり、
異教徒に寛大であったためであったといって、
この機会を利用して市民の間に入り込み,広がりつつあるイスラム原理主義者の動きがある。
敗北を知らなかったトルコ軍はこの少し前、
レパントの海戦(1571)でヴェネツィア共和国とスペイン王国のキリスト教連合艦隊に
初めて敗北を喫して、西洋の力に対する畏れを身をもって感じ始めた時期でもある。
この時期はまたトルコの細密画の技術が、
その庇護者十二代スルタン・ムラト三世の下で
本家のペルシアの芸術を凌駕する域に達した時代でもある。
 時のスルタン、ムラト三世は翌年がイスラム暦の一千年目に当たるところから、
その在位と帝国の偉容を誇示するための祝賀本の作成を秘かに命じる。
元高官で細密画がわかるエニシテが監督するが、
彼はかつてヴェネツィアで見た遠近法や陰影,肖像画などの手法を取り込むことをもくろむ。
西洋画の技法で細密画を描くこと、
特に肖像画はアラーの神への冒涜行為と考えられる時代である。
物語はやがて殺人事件に発展していく。
事件はイスタンブルで起こるが、細密画にまつわる歴史的解説は、
アレキサンダー、ダリウス、ジンギスカンの蒙古、フラグの西アジア、
チムールの中央アジア、コーカサス、古代ペルシア、ササン朝ペルシア、インドにまで及ぶ
広大な展開を示す。
この本は、その中で西の文明に対比するものとしてイスラムの概念がでてくるが、
イスラム原理主義者の西の影響をよせつけようとしない暴力と独断を、強く糾弾する書である。
進歩的なモスレムの知識人たちと共に、著者はこういう野蛮と独断がイスラムを内から破壊し、
自己批判や変化をおそれることがモスレム社会を後進させるという。
変化をおそれず、西の文明を、よいものは選び受け入れることによって
この危機を乗り越えられるという。


オルハン・パムク - Wikipedia


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『 鉄の時代 』J・M クッツェー (著)

反アパルトヘイトの嵐が吹き荒れる南ア、ケープタウン。
末期がんを宣告された一人暮らしの初老の女性ミセス・カレンは、
自分が目の当たりにした黒人への暴 力の現実を、
遠く離れて暮らす娘に宛て、遺書のかたちで書き残す。
そして、彼女の家の庭先に住みつき、
次第に心を通わせるようになったホームレスの男に、
その遺書を託そうと決意するのだった
──英語圏を代表する作家の傑作を初紹介。

〈ぼくがこの作品を選んだ理由  池澤夏樹〉
差別はすべての国、すべての社会にある。
しかしその心理をたいていの人は理解しない。
理解するまいと思っている。
差別が制度化された南アフリカで、
クッツェーは差別がどう人の心を歪めるかを巧妙に書いた。
彼の硬い鉄のペンが人の心のいちばん柔らかい部分を描いてゆく。    


クッツェー- wikipedia


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『自由の樹のオオコウモリ』アルバート ウェント (著)



日経アジア賞(文化部門)受賞作家、初の邦訳。
熱帯の深き哀しみを詩情とユーモアで彩った南太平洋文学の金字塔。
中年公務員が部下の若い娘との不倫の末、
妻に射殺されるまでの顛末を描いた「独立宣言」ほか、
サモアの文豪アルバート・ウェントの魅力が一杯につまった
九つの中・短篇を収録する珠玉の作品集。

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