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2005.07.27

花京院典明にみる孤独

花京院典明を知っていますか?

『ジョジョの奇妙な冒険』 荒木飛呂彦 著

の第三章に出てくる登場人物です。

ジョジョをはじめとする「スタンド」という特殊能力を持つ面々が
野望のために吸血鬼となったディオを倒す為に旅を続けるというの
が話の粗筋。

「スタンド」とはそれを持つものには、特殊能力を持った守護霊の
ようなもの「スタンド」が憑いて、人にはその「スタンド」が見え
ない故、その能力はそのまま、その人物が持つように世間には見え
るのです。

話はクライマックス。
まず、仲間のうちの生き残りのひとり花京院がディオを追い詰めま
す。

その最中、花京院は今の自分の心境をこう述懐します。

『子供の時から思っていた。
 町に住んでいると
 それはたくさんの人と出会う。
 しかし 普通の人たちは
 一生で真に気持ちが
 かよい合う人が
 いったい何人いるのだろうか。。。?

 小学校の○○くんのアドレス帳は
 友人の名前と電話番号でいっぱいだ。
 五〇人ぐらいはいるのだろうか?
 一〇〇人ぐらいはいるのだろうか?
 母には父がいる。
 父には母がいる。
 自分はちがう。
 TVに出ている人とか
 ロックスターはきっと何万人といるんだろうな。

 自分はちがう。

 「自分には一生誰ひとりとしてあらわれないだろう。」
 「なぜならこの『法皇の緑』が見える友だちは誰も
  いないのだから。。。
  見えない人間と真に気持ちがかようはずがない。」』

と。

彼はその特殊な能力のせいで孤独な日々を送るはめになったのか
もしれない。いやな思いをしたかもしれない。

だからこそ

彼はその自分の「スタンド」がみえる他の「スタンド」使い達と
知り合い、はじめて同士を見い出したのではなかろうか。

その後劇中では、彼は、宿敵ディオを窮地に立たせながら、ディオ
の誰もみたことのない「スタンド」の能力のために一瞬で散ります。

死ぬ間際、彼は仲間に渾身の力を込めて、ディオの秘密を、能力
の秘密を知らせようとメッセージを込めます。
その壮絶な死に様にくらべ、顔はなんとも穏やかなのです。

きっと

「士(サムライ)は己を知る者のために死す」

という心境だったのでしょう。


     ・・・

さて、長くなってしまいました。

この話は『ジョジョの奇妙な冒険 27巻』に収録されています。

ちなみに1992年6月に発行されたものです。

かれこれ13年経ちますが、この花京院の台詞は忘れるどころか
この頃益々鮮明に思い出されるのです。

なぜか?

きっと、年を重ねるにつれ、自分で惹かれるものをかきわけるにつれ、

「それが見える誰か」がいないという現実に晒されているからでは

ないかと。

花京院は「スタンド」が見える/見えないという境界線がはっきりし
ている。

ただ、現実は、そんなYES/NOの世界ではない。

うわべは通じ合っているようにみえて、ほとんどは奥底を隠している。
なにか他の人にはわからない奥底のひとかけらを共有できたとしたって
それが、奥底全てを、つまりはその人を知りえたということにはならな
い。

逆に親愛なる人に全身全霊を込め、自分の奥底を吐露したところで、
どこまでそれを汲み取ってもらえるというのか?

たしかに自分の思いなんて語らなければわからない。
だが、
言葉にせよ、文字にせよ、ツールにのせた時点で必ず自分の思いの内の
中になにか失われるものがある。伝え切れないものがこぼれてしまう。
伝える段ですでにこぼれ
受ける段でまたこぼれ。。

それにそもそも、語る時間もない。場所もシュチィエーションも。


自分が深く深く潜るほど、日の光は微かになり、だれの声も届かなく
なる。

ただ、深く潜ることが人生であるなら、人と分かち合えないものを持
つのが人生というのとイコールになるといえるのではないか。

それに別に絶望するわけでもなく失望するわけでもない。

ただ、

死ぬ間際、どうやったら花京院のような死に顔ができる人生が送れる
のか、そのことを考えないわけにはいかないのです。。


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僕がかっこわるいと思う事

基本的に僕がかっこわるいと思う事。
それは
「安易であること」
のような気がする。

安易なことって大抵

「〜だったら、じゃあ。。」という反応的な図式であわらせるからだ。

「こっちが無理、じゃああっちに行こう」
「あれが無理、じゃあこれを。。」

ってな具合で。


追い詰められるとこんな思考になってしまう自分がいる。

納期が厳しいと、安直にクオリティを下げるとか。。

そこで、まずは踏ん張る。

そこから解決策はみつかるのだ。

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2005.07.26

地震のおおきさ

2005/7/23
千葉県を震源地とする地震の爪痕を部屋で発見しました。

ああ〜
部屋のかめはめボーヤ(仮)の足が。。


kizuato

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2005.07.24

Between The Lines Vol.7

本を紹介するメールマガジンを発行しています。

Between The Lines Vol.7 発行

今回はウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』です。
いわずとしれたサイバーパンクの金字塔。

書き忘れました、大事な注意が。
作者近影は見ない方が身のためです。。見ない方が。。(笑)

本文は↓画像をクリック

sunflower

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2005.07.18

こんな快晴の夏の日は

今日関東地方は梅雨明けだそうです。

やっぱり夏は休みに限ります!
やっぱり夏は快晴に限ります!
やっぱり夏はビールに限ります!?

なぜなら、他のどの季節よりも空を仰ぎ見てしまう回数が
多いから。

「あち〜〜〜っ!」

といいながらも入道雲を眺めてしまうからです。

入道雲を見ると空はでかいなあとしばし思考が留まります。

そんな風に空を見上げると、地面の存在もしっかり感じる
ことができるのです。

そうやって風土を一番感じることができる、そんな季節が
好きなのです。

(夏の日の仕事は勘弁願いたいものですが。。)

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2005.07.15

降車ボタン

毎朝、通勤時、バスをつかう。

バスっていまどきの公共移動手段としてはめずらしいというか特異な特性を
もっている。

それは

あの降車ボタンである。

そう、「降ります!」と乗客の各々が宣言する必要があるということである。

普通電車に乗り馴れているとなにげに新鮮だったりする。

もちろん電車は、一度に数百人も乗客を運んでいるので、皆の意見や意向なん
て聞いていられないから決められた場所で決められたように停まる。

それとくらべてバスのなんというおおらかさよ。
運転手と乗客の距離は電車と比べようもなく近いのである。


。。なんて、おおらかさの話しではなく、個人的なちっちゃいお話しをひとつ。

仕事の具合により、もちろん朝のテンションは大幅に違う。

仕事がきつかったり、憂鬱だったりしてしまう、そんな朝は、その降車ボタン
になかなかに手がでない。

押したくないのである。
できることなら降りる停留所をスルーして爆睡でもしたいもんだと。

なまじ、電車の駅の停留所だから、誰かが押してくれるのでなおさら億劫にな
ることがある。

そんな時は敢えて、全身全霊を込め(笑)ボタンを押してみる。

そして、降ろされるというより、自ら降りてがんばっていきましょうとはっぱ
をかけるのである。

ただし、自分が降りる停留所のアナウンスがあって、即座に押すのは厳禁であ
る。

なぜなら、降車ボタンを押す事をとっても楽しみにしている乗客がいるといけ
ないからだ。

今日も幼稚園の登園途中の子供がお母さんに「やった〜押せたよ!」とうれし
そうだった。

それはそれでほっとしてスムーズに一緒に降りれるのは不思議だ。

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2005.07.03

その膨大さに

沢木耕太郎さんの『シネマと書店とスタジアム』の後書きにこんな台詞がある。

「こういう小説が、まだ読んでいないまま、眼の前に無数にあった少年時代が、
羨ましくてならなかったのだ。」

これはある種、幸せな歳のとりかたの見本のようなものだ、と思う。
素晴らしいものに出会ってしまった感動と衝撃。
それをあますところなく、そして、それに触れずに表現している。

もう一度反芻したい、何度でも味わいたい、そんな瞬間を持てる人生は素敵だと思う。

決して、子供に戻りたいのではない。
現在を否定して過去に戻りたいのではないのである。
人生をリセットしてやりなおしたいという逃げではないのである、この台詞は。
何故かって?
それは、そこに戻って、別の道に進みたいわけではないから。
また、同じように同じものを読み、見てうなる、それだけが望みなのだから。

片や、僕はというと
もうすぐ三十路になるのに

まだまだ知らない世界があり、まだまだ知りもしないマスターピースがごろごろ
しているという現実に、その自分がしらない世界の膨大さを目の前に、

人生の有限を感じ、その人生を少しでも長く持っている少年時代の自分を
羨ましく思ったりするのです。

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