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2005.07.03

その膨大さに

沢木耕太郎さんの『シネマと書店とスタジアム』の後書きにこんな台詞がある。

「こういう小説が、まだ読んでいないまま、眼の前に無数にあった少年時代が、
羨ましくてならなかったのだ。」

これはある種、幸せな歳のとりかたの見本のようなものだ、と思う。
素晴らしいものに出会ってしまった感動と衝撃。
それをあますところなく、そして、それに触れずに表現している。

もう一度反芻したい、何度でも味わいたい、そんな瞬間を持てる人生は素敵だと思う。

決して、子供に戻りたいのではない。
現在を否定して過去に戻りたいのではないのである。
人生をリセットしてやりなおしたいという逃げではないのである、この台詞は。
何故かって?
それは、そこに戻って、別の道に進みたいわけではないから。
また、同じように同じものを読み、見てうなる、それだけが望みなのだから。

片や、僕はというと
もうすぐ三十路になるのに

まだまだ知らない世界があり、まだまだ知りもしないマスターピースがごろごろ
しているという現実に、その自分がしらない世界の膨大さを目の前に、

人生の有限を感じ、その人生を少しでも長く持っている少年時代の自分を
羨ましく思ったりするのです。

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