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2006.04.09

一方的な贈り物は遅れて届く

金魚屋古書店の二巻を読んでいて
久しぶりに出会った漫画があった。

アドルフに告ぐ手塚治虫著である。

アドルフ・ヒットラー

彼が作り出す混乱と狂気の世の神戸で話ははじまる。

ドイツ領事の息子アドルフ・カウフマン
パン屋の息子のアドルフ・カミル

親友だった二人が

その時代や、思想や、血筋に翻弄される社会派の漫画です。

この本は十数年前に唐突に僕のものになった。

それまで、仕事帰りにおみやげなどという気のきいたことを
したことのないオヤジが

「おう、みやげだ」

と一方的にくれたのだ。

当時小学生だった自分にはちょっとはやすぎた。
むずかしすぎた。

それは内容が、だといままでそれほど気にもとめずに考えて
いた。

だけど、そうではなかった。

彼の、おやじの真意というか、気持ちがむずかしすぎたのか
も、と今では思う。

なんで『アドフルに告ぐ』なんだろう?
なんでおみやげを買ってくる気になったんだろう?

いったいなにを思っているのだろう?

当時の僕と彼の世界は日常生活でしかなかった。

それがはじめて意識まで降りていったはじめての体験だった
と今では思うのです。

彼という人間の中身をはじめて見ようとした出来事だったの
です。

そんなことを十数年後に思い付く。

彼の思いは遅れて届いた。

しかも、真相は謎のまま。

その人が欲するものを贈る、そこにはその人に対する想いが
詰まっている。
それは瞬時に満たされる。特になにか特別な日のものは余計
に。

一方

一方的な唐突な贈り物には、贈る側の自分の想いが詰まって
いる。
まるで自分を受け入れてもらえるかどうかっていうドキドキ
を味わいたいというはなはだ一人称な告白に近い想いが。
それは速効性はない。
そんな一方的な想いが薄らいだころにわかるのだ。
その贈り物に込められ得るなにかを。

p.s.
その後、また彼はおみやげを買ってきていたのを思い出した。

それは

韃靼疾風録』 司馬遼太郎

だった。

しぶすぎるぞ!

単に自分が読みたかったっていうオチが頭をよぎる(笑)

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» アドルフに告ぐ 正義、、って [東方見聞人 ]
この頃、ポータルのニュースを見ている時間が長くなりました、、だいまつです。 本 [続きを読む]

受信: 2006.07.30 00:38

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