神秘という魔術
荒俣宏さんが
岸田劉生をして、「形に宿る形以上の領域」を表現出来る奇人と評した。
そして、その領域を
内なる美、「神秘」と表現した。
その「神秘」とは
色で形をあらわしたり、
形で色を感じさせたり
する魔術と定義した。
オルダス・ハクスリーは五感は蓋のようなものだと考えた。
宇宙に存在する全ての情報は圧倒的であり、
それをすべて感受すると、人間は情報の洪水にながされてしまい
行動することができなくなる。
そこで生存に必要なものだけを感受するために五感以外を閉じて
しまった。
つまり、五つの感覚に制限してしまったのだと。
ロビンマスクの鎧のように。
(それを解き放つのに彼はLSDを服用した)
こんなエピソードやら考え方を読むだけで、
五感を別個にしないで世の中を感じられると思えるようになる。
それこそ
色で形をあらわしたり、
形で色を感じさせたり、
触って匂いを感じられると。
そういう感覚器のそれぞれを超えた
絵画
であったり
音楽
であったり
文章
であったり
それらを感じられることこそ人間らしさだと思う。
わざわざ、五つに閉じ込めたその知恵を
敢えて越えてみせる。
それが痛快なんではないか。
神秘のベールで世を包むことが楽しいのではないか。
そんな生存にはかかわりのないことを考えるのが
楽しいのです。
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コメント
文を読んでふと思いついたのが
音を言葉で表現する。
これって割とやりやすいし、実際みんな「感想」という形で
現してますね。
何気なくやっている身近なことだけれど
もしかしたらこれってとても尊いことなのかも。
だから時に「難しい」と思ってしまうんですね。
投稿: 優子 | 2006.06.25 01:28