ユニバーサル横メルカトル/限界が僕らと世界を結びつける。
電子音
下から照らされる男の顔。
電子音
機械音
プロジェクターから投影されるヴィジュアル。
男の顔。
電子音
機械音
僕はノイズに包まれる。
ノイズ。
雑音。
なにが雑なのか?
雑多。
今、時間をこの瞬間で切ってみよう。
時間を止めるみたいに。
時間の今という断面を覗いてみよう。
この瞬間、今の音を、時間軸を利用して僕らに届く音という波を
それから解放して眺めてやろう。
音を眺めると。
音そのものではなく
音の主にいきつく。
暖房の音。
冷蔵庫の音。
ディスクの回る音。
時計の針の音。
誰かが
歩く音。
腰掛ける音。
なにかを発声する音。
ポケットに手を突っ込む音。
振り返る音。
心臓の音。
血管の音。
細胞の音。
細胞の分裂。
マントルの流れる音。
鉱物と鉱物のぶつかりあい。
マグマと岩のぶつかりあい。
時間軸から切り離された音もその主からは解放されない。
そして、それらをしげしげと眺めると。
ノイズの意味がわかる。
ノイズとは、おおげさにいうと、世界だ。
自分も含め、自分が含まれないところでも
同時多発的に、音が生まれているということ。
誰かが、なにかが音を作っているということ。
生きているということ。
動いているということ。
動いていないということ。
今まさに、また、あたらに、世界が構成されているということ。
今まさに、どこかで、また、ある世界が終わりを迎えたということ。
僕という音の集積装置が、音全ての出自を知らない。
だから、全て自分に関係のない音をノイズというのだ。
僕が意味に縛られて、時間軸にもてあそばれて、自分に縛られて
僕という定義が、全世界も知る由もない、僕と言う矮小さが。
限界を認め
世界という音を、ノイズと称するのだ。
ユニバーサル横メルカトル。
変な名前だ。
地球を表現しようとする限界。
結局誤差がでる
とわかっている人間。
それを許容できる人間。
それに違和感を感じる人間。
ノイズを嫌う人。
ノイズを作る人。
電子音
下から照らされる男の顔。
電子音
機械音
プロジェクターから投影されるヴィジュアル。
男の顔。
電子音
機械音
僕はノイズに包まれる。
ノイズ。
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