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2008.03.07

package




昔の人はうまいことを言う。


神様は

人を選んで栄光というシャワーに浴させる。
そしてのぼせる前に
失墜というタオルでくるんでくれる。

と。


ここで、神様の腕前にいつでも舌を巻くのは。



いつでも絶対に、ネタを悟られないことだ。
しかけを人間に気づかせないことだ。


それこそ、それは神業と呼ぶにふさわしい代物だ。


人間はいつでも、その予兆にすら気づきもしない。


あと数秒で、シャワーが止まってしまうとしても、
ほんの数秒前にシャワーが止まった人をみて


腹をかかえて笑うほどに



人間は



無邪気に、いつでも、


そう、なにやら巷では「運命」と呼ばれる神様の用意する喜劇に対して


無防備だ。



・・・



本を手に取った瞬間。

僕は知っているはずなのに。



それが終わるということを。
読み終える時がくるということを。
読み始めた、スタート地点で、
いや、それを手で掴んだ時点で。
いや、棚に入っている姿を見た視点で。

僕らはその終わりを、終わりへの道のりの長さを測っているくせに。

あの紙の束。
249P

あの直方体。



あの物体自体が、終わりを暗示しているのに。

あの物理的な厚さは、物語のボリュームをあらわしているのではない。

それに終わりがあるということを僕らに伝えているのに。



その存在が。

質量が。
体積が。
重量が。

存在のひとつひとつが
存在の全てが、
あらゆる存在が、それが終わることを意味している。

ただ、そのためだけにあるっていうのに。



生が死を表現している。

神は嗤っている。

そうだよ、君たちは終わりに向かって全力疾走しているのさ。
限りない未来へ飛翔していると思っているかもしれんが、
栄光と転落がセットのように、

君たちはせっせと

終わりという無にデコレーションしていただけなんだよ。

ケタケタケタ!



・・・



パッケージ。


人間が人間という有機有限の存在の中で、味わえるように、
世の中をモジュール化したなれの果て。



例えば、壮大なストーリー。
余すところなく書き綴ってみようか。
それを8000万ページにパッケージ化すると
厚さ6,4km。
寝食を忘れて100年ばかし。

人間個人ではとても消化できない。



人間が人間という存在の中で、気軽に楽しめる、
サイドボードにぽいっとおけるサイズに。
起承転結という骸骨に剥がされた
終わりが見える、透けてみえる、そんな風体に。


骸骨じゃあ、どんな美女だった愛せないっていうのに。



・・・



僕らはきっと器用になったのだ。


なんでも


パッケージ化して、
個人で味わえるように工夫して。


いくつでも、むさぼるように。
「消費」という教義に背くことなく。



きっと



感動も
衝撃も
悲しみも
喜びも


すべてを細切れにできる。


笑顔も涙だって。


好きな時に幾らでも。



・・・



昨日

廊下の電球を換える。
時計の電池だって換えた。


なんのために?


現状を維持するため?


うそおっしゃい。


また電気が切れるのを待つためさ。
また時計が止まって時においてけぼりをくうのを待つためでしょ。



・・・



僕は


あなたと出会った。


僕は


あなたと恋に落ちた。


なんのために?



・・・



神様が用意してくれた喜劇?
人間が用意したパッケージのひとつ?



・・・



神様

神様の喜劇と
人間のパッケージに

懐疑的で若干の嫌悪感を抱いている僕も

ひとつの喜劇でありパッケージなんでしょうね、きっと。

ケタケタ

嗤うといいですよ。




でも、お願いです。




もう一度彼女との喜劇の幕をあけてくれませんか?
もう一度「彼女との恋」を売ってくれませんか?






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