『The Road』ジョン・ヒルコート (監督),コーマック・マッカーシー(原作)
ROAD=道はどちらかというと東洋的思想に属します。
「すべては道半ばである」。
柔道しかり、剣道しかり、茶道etc。
道は決して目的地ではない。
その道を行くということは、道半ば、完成されない道程であるとの宣言でもあります。
世界が滅亡した先のものがたり。
父と子はただひたすらに道なき道を南へ。
人類は自ら道を放棄するか、他人の道を汚し、犯し、殺すか。
そんな世界が舞台です。
「南に行き、海に出れば全てがかわる」
父はそう子供を諭し、歩み続けます。
でも、そんなこたあない、そうわかっている。
でも歩き続ける。
道を歩くこと、それはここでは実は未来をサスペンドすることでもあるのです。
大半の人々が命を断つ中、歩き続ける。
未来を希望し
未来をサスペンドする。
これって「生」そのものなんですよね。
未来のために生き
現在のために生き。
そして、父は自分が生きている間に事態が好転するなんて望んではいない。
辿り着くべき何処かへ行けるとも実は思っていない。
でも、希望を持っている。
自分個人では到底叶えられそうもない、なにか、未来を
彼は息子に見いだす。
自分がすでにそのとき、地上に存在していないだろう未来に。
きっと実際に自分の死を意識しているわけじゃない。
でも、本能的に、希望というものを明確に約束された未来ではなく
馨しき予兆を彼は信じている。
道の先には目的地がきっとある。
そして歩いている当の本人はそれがどこだか知る由もない。
世紀末、この世の終末と道が
こんなに相性の良い物だとは。。。。
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